上級者のお悩みは本格的な仕立てを学んで解決しよう


今回は365回講座上級コースのご案内です。初級、中級と学んでこられた方にとって、ある意味憧れのステージですね。初級コースで学んだ「美しく正確な縫い」と中級コースで学んだ「自分らしい型紙づくり」をふまえて、上級コースでは「洗練された仕立ての服」の作り方を学んでいただきます。


自分に合ったスタイルの服は縫えるけれど、どこかぼってりと重い

もっと速く、それでいて高級感ある仕立てができるようになりたい

どんな柄や切り替えでも迷わず柄合わせをしたい

襟やポケットをすっきり仕立てたい

肩で魅せるジャケットやブラウスを仕立てたい

洋裁のスキルをあるレベル以上身につけた人ならではのこういったお悩みも、上級コースで学んでいただくことで全て解決します。

「洗練された仕立ての服」がどのような服かというと、たとえば“この服は既製品じゃなさそう” “とても丁寧な手仕事で作られている” “高級ブランドの服かも”と見た人が感じる服です。

洗練とは、洗って練るという字のとおり余分なものがそぎ落とされ、垢抜けて磨き上げられること。生地や手順の過不足がないよい仕立てを身につけることによって、お洋服に「洗練」をまとわせることができるのです。

そのための正統なお仕立てを本格的に学ぶのが上級コース。初級・中級に比べて圧倒的に情報量が多くなっていますので、ご自分が身につけたいスキルを少しずつ自分のものにしながらステップアップされることをお勧めします。


365回講座・上級コースで学ぶこと

365回講座・上級コースでは、子供服から大人の服までさまざまなサイズの服を仕立てていただきます。

主な課題は


前立て・アウトポケット・脇ポケット付きのパンツ

ずれないしつけで仕立てるファスナーつきスカート

ブラウスとジャケットの型紙からマスターする袖のいせ

パンツ・台衿シャツカラー・スカート・ジャケットの色々なパターンの柄合わせ

フラットカラーとシャツカラー、台衿付きシャツカラーの仕立て方

となっています。


それぞれの課題を学ぶ意義とは

上級コースに進まれた皆さんにまず意識していただきたいのは、「服作りは創作である」ということ。それぞれの課題で学ぶスキルは、他の作品を仕立てる際に応用できるものばかりです。
「服作りは創作」とは、スキルを分解し組み合わせて応用することが上級者の愉しみ、腕の見せ所になるという意味です。

ここからは各課題で学ぶ内容をご説明しますので、自分なりの応用方法を描きながらご覧になってください。


前立て・アウトポケット・脇ポケット付きのパンツ


大人のスラックスだけでなく、男の子のパンツやショートパンツなどにも応用できる本格的な仕立て方を学びます。


もはや、前立て付きのファスナー仕立てがキレイに縫えたら、喝采の腕前。
まさにプロの仲間入りです。
最初は難しいかもしれません。でもこのやり方があるのを知り、その他を縫っているうちに、最初は難解でしかなかったものが理解できるようになって、いつかは縫える力がついていきます。


難しいこと、簡単な事のどちらでも、プロはどう仕立てるのかの知識を得ていただきます。

応用としてファスナーをつけずに見返しとステッチだけでウエストはゴムのベルトにすると、時間をかけずに見た目の整った服になります。
デザインは正統派でありながら、子供にとって着心地のよい服になります。


さらに応用範囲が広いのはアウトポケットです。こういった細かいパーツの柄合わせがきちんとできていると作品全体のクオリティがぐっと高くなります。

またアウトポケットには適度なゆとりを入れることで、プロ級のポケットになり高級感が醸し出されます。
シャツやジャケットや小物などの作品に、どんどん応用していただきたいです。


スカートにも応用できるポケットも、ゆとりを入れたプロ仕様。
わりに教えられてないことですが、上に乗る部品はすべて、必要なゆとりを入れないと突っ張って形がいびつになります。

正統派の縫い方を、様々な場所、アイテムで覚えていただくのが上級コース。


ブラウスとジャケットの型紙からマスターする袖のイセ


365回講座では箱ポケット付き丸首ジャケットが課題です

肩と袖の印象を大きく左右するのが“イセ”の分量です。“イセ”とは、袖山の部分に入れるゆとりのこと。“洋服は肩で着る“とよく言われますが、肩の印象を作るのが“イセ”と言っても過言ではありません。

これが厄介なのは、生地の張りや厚みによって袖の“いせる分量“が変わることです。
厚みがあって柔らかい素材と、固くて薄い素材では、同じイセ分量では縫えませんし、表現したい袖のシルエットによってもイセの分量は変わります。

自分が作りたい生地に適した袖のイセの分量に変更する方法を型紙から学ぶ必要があります。
型紙そのままの袖の大きさで仕立てるのではなく、型紙のイセを生地の厚みで必要な分量に調整できることが大切です。

この課題をマスターできれば“肩で魅せる服”を仕立てられるようになります。なぜここまで肩のシルエットにこだわるかというと、着こなしの印象を決定づけるものだからです。

たとえばジャケットを着こなしたおじいちゃんが普段着のときより恰好よく見えるのは、ジャケットのシャープなラインが丸まった肩や背中のラインを直線的に見せ、姿勢よく若々しく見せてくれるから。

あなたの作品の肩の印象が着る人の魅力を引きたて、ステキなたたずまいを作るのです。技を磨く甲斐があるというものですね。


ズレないしつけで仕立てるファスナーつきスカート



絶対にズレないしつけ縫いの方法をお伝えします。絶対にズレないとは“上からの押さえ金と下からの送り歯という、ズレを生むミシンの動きに負けない”しつけ縫いのことです。

なんでこれを初級コースで教えてくれなかったんですか!というお声を時折いただきますが、初級コースでしつけに頼ってしまうと“縫い代に注意を払う”という基本中の基本スキルのメリットを体感しにくくなるからです。

「普通にしつけをかけてミシンで縫えばズレない」「しつけをかけてもズレるのは、ミシンに慣れていないせい」といった言葉をよく耳にしますが、私に言わせればどちらも完全に的外れ。

手縫いのしつけとミシンのステッチは、布を縫い合わせるという目的意外は根本的に違うものです。生地がズレないようにするために必要なのは、しつけをミシンの動きに対応させること。事故が起きやすいスカートのファスナーつけを題材に、絶対にズレないしつけをお教えします。

必要な部分にだけこの技を使い、難しい部分をトラブルなく縫い進める技を身につければ、しつけ縫いはあなたを強力にサポートしてくれる存在になります。


パンツ・台衿シャツカラー・スカート・
ジャケットの色々なパターンの柄合わせ



最近の既製服では、目立つ部分以外柄合わせが行われないことが多いようです。私はこれを非常に残念に思います。衿や袖などの細かな部分まできちんと柄があっていると、作品を仕立てた人の腕前の良さが光ります。みなさんにはぜひその技を身につけていただきたいので、柄の大きさや特徴ごとにさまざまな課題でコツをお伝えします。


衿のトラブル回避を前提とした衿の縫い方、型紙の処理方法


衿の講義は、縫い方はもとより、特に衿の製図方法、型紙に縫いやすい修正を加えるなど、必見の身につけて損はない内容になっています。

衿を自由に製図して型紙から対策できるようになると、出来上がる服が何倍にもグレードアップするという嬉しい結果や、衿だけデザインを変えて作るなどお得で楽しみなことが待っていますから、学ばない手はありません。


カーブするラインに合わせ首に添って立ち上がるよう仕立てる衿は、身頃・見返し・台衿・衿など何枚も生地が重なり、厚みやねじれ、それに関連したトラブルが起きやすい部分です。このトラブルを未然に防ぐには、型紙からの対策が必須です。

上級者であっても、セオリーを理解しないで作ると成功率が低くなってしまいます。衿を美しく仕立てるには、“原因が発生しない処理をした“型紙を作ることが大切。
型紙処理だけでなく、さらに縫う順番やステッチの工夫でトラブルの発生源を全てつぶしましょう。


恰好のいい衿かどうかは作品のクオリティを左右する大切な要素です。

中級コースの型紙の書き方と一緒に復習しながら学んでいただくと、他では手に入らない衿の型紙の知識が手に入ります。365回講座の衿の関連の講義、ぜひご覧くださいね。

なお、1着を作り上げる講義の仕方では入りきらない衿の作り方は、動画マニュアルとしても別教材にしています。 そちらもぜひご検討ください。


上級コースの学び方のコツ

365回講座・上級コースでは、できる限り多くのことを学んでいただくため一つの作品で複数の課題を扱います。すべてを一度に学ぼうとすると負担が大きくなりますので、ご自分のスキルやニーズに応じて内容を取捨選択してください。

たとえば前立て付きパンツの課題は「前立てを美しく仕立てる方法+柄合わせ」が課題です。前立て付きパンツの仕立てに不慣れな方は、まず無地の生地で前立ての仕立て方を学び、次に前立ての柄合わせに進む、という順番で履修されるのがよいでしょう。


このように、365回講座・上級コースではご自分のスキルやニーズに合わせて進み方の調整や課題の応用をされるようお勧めします。少しずつ学ぶことをお勧めするのには、もちろん理由があります。

「神は細部に宿る」とはよく言ったもので、手仕事の美しさは作品を作るプロセスのひとつひとつの積み重ねで造られるもの。そして、美しく仕上げるスキルを身につけるにはある程度の練習が必要です。


難しい課題に挑戦する意欲は素晴らしいですが、それが負担になって練習の意欲を失ってしまうことがいちばん勿体ないことです。これまで培ってきた知識やスキルを生かし、確実なステップで洗練された服の仕立てをマスターしましょう。

動画はいつでも見放題ですし、必要な情報はタグの検索を利用して調べ放題。あなたのニーズにお応えできる体制は万全に整えてあります。安心して365回講座・上級コースで学んでくださいね。皆さんの素晴らしい作品を拝見する日を楽しみにしております。