布ループの作り方について、以前にアップしていた記事を、全く別の視点から書き直しました。
こんにちは。「ずぼらでもパリコレ」洋裁が自宅でも学べる1年講座の小川タカコです。
以前にアップしていた布ループの記事を、サイトが変わったことで、そのままにしていました。
洋裁が自宅で学べる365回講座の講義の中に、この記事を読んで欲しいと書いていながら、リンク先不明となったままで、時間が過ぎてしまっていました。
受講して下っていた皆様には、ご不便をお掛けし、心よりお詫びいたします。
布ループを製作中の、洋裁が自宅で学べる365回講座52回から抜粋した動画も埋め込んでありますので、ヒントを読み取ってくださったら幸いです。
布ループがなぜ出来ないのか、理由は簡単
布ループの作り方で、間違っている部分についてまず検証します。
私が専門学校で学んだ時にも、布ループの作り方では、ネットに散見される作り方で習いました。
とても可愛い今時のデザインが一日で作れる子供服の本
ハンドメイドのかんたん子ども服2016-2017秋冬 [ムックその他]
こちらからイラストを拝借しました。
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2016年9月15日発売の新しいムックですねー
1日で出来るという内容が知りたくて買いました。
縫い方はフルカラーで、普通の家庭用ミシンで縫う方法が載ってます。かなり細かい作業まで写真で載ってます。
子供に作りたいと思ったのはネコかな笑
デザインは今風で、お店に売ってるやつというより、大人の縮小版みたいなデザインが多いですよー
可愛い目線が同じ感じでよかったです
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ご購入者様のコメントです。
いわゆるこのような、イラストなどで紹介されている作り方です。
形状的に、指南書のやり方では布ループが通る隙間が作れないから、布ループが作れないのは当たり前なのです。
簡単ですがテキストで説明すると、
- 細い筒状のトンネルに潜るときに、
- 頭に尖った岩を乗せて、
- 自分の肩がやっと通るくらい狭いトンネルに、
- 目をつぶって潜っていき
- 狭いトンネルの壁に接触することなく、
- 尖った岩を、壁にも自分にもぶつけることもせずに
- 完全無傷で通り抜けられる
このくらい、イラストは無理を書いてあるわけです。
布ループの作り方では、通す場所を太くするようにと書いてあるものがほとんどです。
布ループは細いところへ固い塊を突っ込むことで壊れる
この布ループの作り方は、縫った糸を直接針に通して、引っ張ってますよね。。。
縫った糸に力を込めて引っ張ったら、せっかく細く縫った縫い糸が破損します。
壊れ方の度合いも飛躍的に高くなるばかりか、絶望的な結果になってしまいます。
針を細いトンネルの中に、無傷で通す作業ほど、不可能なものはありません。
尖った針は、ループのトンネルを突き破り、破壊させる働きしかしてくれません。
そもそも、針は布に突き刺さすための道具ですから当然です。
布ルールは先端を尖らせないと、トンネルをくぐってくれない
布ループは、スムーズにトンネル内を生地が通過することで、破損せずに作ることが出来ます。
布ループのイラストが見づらいので、大きくしますね。
布ループの両端に、ご注目ください。
太くして縫うように、指南しているでしょう?
黄色幅もの大きさのある塊を、青のすき間に突っ込んでいくなんて、絵的にも無理を感じませんか?
布ループは3mmくらいで縫うものなので、倍もある青の部分が固まった固い岩のようになって、黄色の細いところをグリグリねじり込んだら…。
誰がやっても壊れてしまうのはご理解いただけると思います。
布ループ返しを使うと、布ループはずっと簡単に作れる
布ループを作るのに、プロはさすがに針と糸で布ループ内のトンネルを通すことはせず、ループ返しというものを使いますが…。
そして布ループをひっくり返そうと足掻くうちに、しっかり挟んだはずのループ返しで突き刺した、布ループの先端が抜けてしまい、悪くすると全損にもなってしまう時もあります。
見ずらいですが、布ループの中に先端が外れた塊があります。
膨らんでいますが、こうなってしまうと引き出すことも出来ず、最初からやり直しです。
どうやっても布ループが出来ない!
私がぶきっちょだからだ(´;ω;`)ウッ…
という布ループの負のスパイラルに、ハマる人も多い事でしょう。
私ももれなく同じ失敗を繰り返していました。
布ループはとても繊細な性格になるように、わざわざバイヤス地で作るので、破損しやすいものなので、乱暴なやり方で作ることは出来ません。
ループ返しとは、このようなもので、布ループの先端に引っかけて使うものですが、これがいとも簡単にフックが先端から抜けてしまいます。
このイラストでは、平らに切った面を引っかけていますが、尖らせて縫った側か、輪の方かを残して三角に尖らせます。
どちらを選ぶのかは、材質や状況判断で【失敗したら逆を試す】くらいの感覚です。
ダメ元でやってみるんが、基本姿勢です。失敗ありきの思考です。
布ループは細く同じ太さで、最初から最後まで縫い、先端を輪の方に向かって三角に切り落とします。
そうすれば、布の塊の岩みたいになったゴロゴロする大きな塊を、細いところへ通さずに済みます。
下から入れて、先端の尖った部分を引っかけます。
フックを尖ったところに突き刺し、
丸い方と突き刺した方とで、生地の先端を引っ張って、布ループのトンネルをくぐらせるのですが…
生地はバイヤスで縫いますので、先端部分も当然バイヤスです。
バイヤスにした生地は。裂けやすく切れやすい性質があります。
布ループは輪の形にするために、柔軟でなければならないため、地の目は完全な正バイヤスで裁断します。
布ループは力を入れないとひっくり返せないのに、力を入れると破損する状態の物を使うという、真逆の条件で戦わねばならないため、幾つものトラブルが起こって当然なのです。
布ループを作るときに、どの程度の長さにするのか?
あるとき、先輩に質問したことがあります。
「布ループの作るとき、どのくらいの長さにしますか?」
先輩は、「1個分の長さでしか作らない」と答えました。
何故ならば「何で苦労してひっくり返すのが大変なのに、破壊してしまうリスクを抱えて、長くしなきゃならないの?」と。
確かにおっしゃる通りで、長くしたらリスクが増えるには違いないのですが…。
でも、布ループは太さも表情のうちです。
1個ずつ縫うと太さのばらつきが出やすく、理論としては正しいけれども腕のない私には、どうにも腑に落ちない気がしたものでした。
意地になって、先輩が呆れて笑うのも構わず、一番長くして布ループを作ろうとしては、破壊してしまうのです。
布ループが大嫌いだったからです。
腕がない、技術が身に付いてないというのは悲しいもので、布ループと正バイヤスのフレアスカートには散々な目にあいました。
布ループが大嫌いだった私が窮鼠に陥った、布ループだらけのブラウスのサンプル依頼
布ループが大嫌いなまま独立し、自分だけでメーカーから直接、お仕事を請け負うようになったある日のことです。
とあるメーカーから依頼され、配達された箱を開けると、目を疑うようなデザインのパターンが入っていました。
前立てのついたブラウスはまさにこんな感じでした。
このブラウスは、レースの先端が丸く出ているだけですが、台衿の衿ぐりから裾を通って、ぐるりと全部に、友布(同じ生地のこと)で作った布ループを挟み込めというデザインだったのです。
しかも、生地の色は真っ白(笑)
手の汚れは、どんなに洗ってもにじみ出てくる自分の汗や皮脂で、いじればいじるほど手あかがつきます。
私が、布ループをぐるりと縫いつけるデザインを、完璧に縫い上げる。。。
これはよほどの試練だ、腹を括って考えなければ、明日のお飯が食えない。
子供のランドセルを、どうやったら買えるんだ?
サンプル屋の宿命で、デザインに文句が言えず、来たものは完成させねばならないのに、失敗したら仕事ごとご破算になるという、受け身オンリーの状況にあります。
メーカー直のお取引は、割りが良い分、危険と波乱に満ちています。
窮鼠になったような気がするほど、袋小路に追い詰められました。
ウンウン唸るようにして、起きては寝て、考え続けるのと不安で眠ることも出来ません。
その時に、ふいに気が付いたのです。
「逆からやろう!」
そのサンプルはメーカー様に大変に喜んでもらえまして、懇意な関係が太いパイプになりました。
デザイナーさんやパタンナーさんの要望するところを完璧に近い形で縫うことが出来ると、他の仕事をご紹介していただける恩恵があるからです。
デザイナーさんやパタンナーさんのお友達が非常時になった時などに、「腕の良いサンプル屋がいるから紹介する」と仕事が頂けます。
デザイナーさんやパタンナーさんが再就職されても、「以前の通りに私の分はあなたにお願いしたい」と依頼をいただくことが出来ます。
この時の経験は、その後にマンションメーカーさんや、大手のアパレルメーカーさんとお取引をいただく際に、強く自分をプッシュできる自信になりました。
そのコツのコツを、洋裁が自宅で学べる365回講座では、35回目からの内容(布ループは54回目から)で詳しくご説明しております。
お子さんがご自分で脱ぎ着できるように、ボタンの可愛いのが着ても見れるように、前明きのデザインです。
私が小川縫製として、確固たるものを構築した、最初の独自のやり方を講義内容にしたかったのはもちろんですが、目的は別にもあります。
簡単に作れるの布ループをご負担なく自由自在に作れるようになって、手作り感が出てしまうスモックのような、被りのスタイルから卒業して欲しかったからです。
布ループは失敗せず、明きを作る究極的なデザイン
布ループは、当然ですがボタンの穴の代わりをします。
ボタン穴は、失敗したらそれっきりで、非常にリスクが高く、不安定なミシンとのエンドレスな闘いです。
ボタン明きが嫌だから、かぶりのデザインや、ゴムの衿ぐりを選んでいるという方が多いのではないでしょうか?
明きを作れるということは、デザインの幅が大きくなりますから、創作範囲の世界観が全く異なります。
「どこで買ったの?」という称賛を受け取れるために、洋裁が自宅で学べる365回講座では最短のカリキュラムにすることにしました。
布ループが腑に落とせたら、怖いものはない
布ループは挟み出す(縫い目からはみ出させる)縫いをしなければならないため、微妙な力加減、ほんのちょっとの手加減で、大きさや傾き、その他の布ループの表情がバラバラになってしまいます。
それくらいプロも嫌がる布ループの完全制覇するやり方を、
あなたが完全に腑に落とすことが出来たら、あなたの洋裁は大きな躍進を遂げていくでしょう。
洋裁は積み木なので、ノウハウだけで上達は出来ません。
洋裁が自宅で学べる365回講座の34回目までは、申し訳ない事ではありますが、教材にありがちな基礎の基礎を繰り返しているので、物足りない方もいるかもしれません。
コックの修行でも、野菜洗いだけで1年も働いたり、「追い回し」という下働きの時期があります。
洋裁が自宅で学べる365回講座の34回目までがそれに相当します。
地味にならないように、四角のスカートを作ったり、サーキュラースカートに挑戦していただくなどしますが、あくまでも基礎の分野です。
ご自身で腕がなるようなご経験がある方には、物足りなく、カメラマンではなく小川本人が自撮りしている撮影の未熟さや、至らないところだけが目についてしまうことでしょう。
撮影の経験がない、縫うだけの小川が、自撮りです。
最初の月は、右足首、左親指を骨折していて、無理やり撮影していたもので、私自身としてもふがいなさが目立ち、質として自慢できるものは全くありません。
洋裁が自宅で学べる365回講座は現在、299回で台衿付きシャツカラーが終わり、スカートの型紙に入った301回目まで完了しています。
全部が終わって、DVDマニュアルも作り上げたら、初期の頃のは撮影し直したいほど、黒歴史でもあります。
布ループを制覇する意味が与えるもの
(布ループ1つがどれほどの物よ?)と思われる方も多いかもしれません。
撮影そのものはふがいないですが、内容に関して、私は誇りを持っております。
申し訳ないですが、基礎の怠い部分は致し方ありません。
ご経験もバラバラな、実践もないオンライン講座ですので、最初に基礎を扱わないわけにはいかず、私の縫い方を知っていただくための34回分があります。
ヨガのレッスンでも効果が出るのは、4か月は通って欲しいと言われています。
洋裁が自宅で学べる365回講座では、私が教えていきたい本当のコツが出せるようになったのが、35回から始まる講義になります。
布ループは本来の縫い方を、全く逆の発想で簡単に、完璧なものを作るやり方をご紹介しています。
布ループの作り方も、この記事の動画より、更に一歩進めた超高速で、絶対に失敗しないやり方です。
この動画でやっているように。先端部分を返し縫いをしたところで、上記にも書きましたがバイヤス地なのですから、裂けて返し縫いをしたところでほどけてしまう素材も多くあるからです。
ざらつきのある素材でも、布ループを作らなきゃならないこともあります。
このシューズはシェリーメイの靴で、私のデザインしたものですが、エナメルの8mmの分厚いものを布ループにしています。
もちろん、エナメルなので生地はバイヤスではなく縦地ですが、エナメル質のような全く滑らない素材でも、誰でも布ループにすることができる簡単な方法です。
布ループは挟み出しこそが難しい
布ループが難しいのは、上記にも書きましたが布ループの作成方法だけではなく、縫い目に美しく、期待通りの形で縫い挟むことが求められるからです。
布ループを逆転発想で縫うやり方は、洋裁を正攻法ではなく、その場その場で応用していく究極的な教えの部分です。
正攻法で服は縫えないことの方が多いからですね。。。
生地はそれぞれが特有のクセを持ち、同じ状況は二度と生まれないほど、その時限りです。
布ループを縫いつける方法の理屈が、全く逆移転した形から完璧な形になるさまをお教えすることで、小川縫製が突き詰めてきた技術の在り方に触れていただきます。
もちろん、布ループが出来るようになっただけで服が作れたら、苦労はしないわけで、延々と301回までやっても未だ、理解していただかないことばかりで、講座で取り上げきれないくらいお渡ししたい技術があります。
布ループでお伝えしたい、最適な方法でありさえすればいいという発想
洋裁は積み木です。
基礎的な
- 逆側から縫ってもいい、
- 縫い留めする方法、
- アシストする補助具など、
これらをご理解いただくだけで、思考の回路が変わってきます。
猪突猛進にまっすぐ進むだけではなく、反対側を縫い、逆からやり、ちょっとバレないように縫い留めしておくなど、プロの細工の方法を知っていただくことが、洋裁が自宅で学べる365回講座の目的です。
結論として、出来上がりの服の仕上がりが完全であるなら、辿るルートは最適でありさえすればいいのです。
布ループが出来るようになってから
布ループの次には、ブラウスもやります。
袖ありブラウスは、囲み作図の書き方、原型の書き方、袖の書き方もやったあとに、セットインスリーブ(袖山にいせを入れた袖)までいきます。
いせを入れるミシンがどのようにしたらシワにならないのか。
袖はどのようにして出来ているのか。
その辺を何度も動画で見ていただきます。
サーキュラースカートから始まり、布ループの明きの作り方が出来て、袖もきちんとした正式な袖山が縫えると、このようなドレスが応用で作れるようになります。
もちろん、このドレスは裏地が付いていますし、アンダースカートもあり、スカートの裾には別に切り替えたデザインも入っています。
このドレスが単純に縫えるようになると申し上げたいのではありません。
このドレスに一歩一歩近づいていく経験値を、講義の中の動画を観るだけで、目が養われ、培っていくことが出来ます。
布ループでも同じですが、洋裁はノウハウじゃない
キレイな縫い方のノウハウを、サクッと知りたい方には、私の教材は適さないので、お買い求めにならないでください。
そもそも、1着をビシッと一人だけで縫えるようになる事って、簡単に30回の中で語れるようなものではありませんし、そんなに容易くお見せしたところで、ご理解になれると私は考えておりません。
何度も何度も反芻する、繰り返しの動画は、情報の宝庫です。
ノウハウを追い求めている方には、腕の磨き方が私とは異なるのだと思います。
私は反芻し、原因を特定し、それに対する対策の立て方をお教えするのが、私の教材の使命だと考えております。
《失敗あるある》が、少しでも皆さんと同じ目線で、失敗出来ているようにと祈りながら撮影しています。
布ループの失敗も、どの縫い方の失敗も、突き詰めれば同じ
「布ループは難しいし、トラウマだからやらない」とお感じなられる方は多いかもしれません。
布ループだけでなく、洋裁とは失敗をどのように乗り越えていくのかの積み重ねです。
失敗の原因を特定するための引き出しを、いかに使いやすいところに整理整頓して、何時でもさっと情報として取り出せるのかが、職人です。
プロだから、一度で見事な縫いが出来るわけではないのです。
縫いのプロも、生地が違えば全く違った逆境に、いとも簡単に追い込まれてしまいます。
量産工場で、その憂き目を散々味わいました。
量産工場だけが憂き目を見ているのではありません。サンプル専門だと縫う枚数そのものが1着限りということもあるので、より憂き目や山谷、絶望的な断崖絶壁とは常に背中合わせです。
毎回、嫌というほど、命がけの綱渡りを強いられるのが服作りであり、小物も含めた洋裁だと言えるでしょう。
洋裁は独りきりで服の全工程を縫うのは、幾人もいない高等技術
1着を一人だけで縫い上げることを、「丸縫い」と私どもでは呼びます。
丸縫いが出来る人は、大きな量産工場でも1人いるかいないかです。
丸縫いが出来て、更に型紙を読み取れる人はもっと少ないです。
量産工場で、サンプルを縫うのを嫌がる理由は、作業と工賃が割に合わないなど幾つも理由があるのですが、
大きな要因は仕上がった見本(サンプル)がないと、出来上がりが分からない人の方が多いからです。
実際に、型紙からデザインの形が読み取れないと、型紙は型紙でしかありません。
ドレスのパターンを高いお金で買ったわいいけれども、手も足も出ないという窮地に陥るのは、型紙の意図するところを読み解く力がないために起こります。
私が、洋裁が自宅で学べる365回講座の中で、型紙の書き方、線の意図する意味など、詳しく説明しているのは、パターンが書けるようになるためではありません。
もちろんパターン(型紙)がそんなに簡単に書けるようになったら、ものすごい才能ですし、大変喜ばしいことです。
デザイナーになる勉強をする人間は、あまた多くいるのに、自分のブランドを立ち上げられる人は一握りもいませんよね?
デザイナーは才能と運など、一握りの人間だけが神から与えられる栄誉ではないかと私は考えています。
でも、デザイナーだけいても形になりません。
パタンナーがどんなに上手に型紙にデザインを表しても、それを縫う人間が型紙の意味を読み解けなければ、デザインは生きたものになりません。
縫うことは想いをくみ取ること
縫ううことの究極は、型紙に込められた想いを、形にすることです。
その為に、型紙が何を言わんとしているのかを読み、その先にある生地との語らいをして、デザインは仮想の世界から現実の物になっていきます。
皆さんが縫えないと投げ出してしまう型紙の中に、縫う目的が伝わってないないものが多くあるかもしれません。
なぜ、型紙の意図の通りに、縫えないのでしょうか。
これを言葉で説明するのは、非常に困難です。
思えば世の中も便利な時代になっているので、ご想像もつかない方も多いかもしれないですが、昭和の頃も平成の初めも、電話とFAXしかないのが当たり前でした。
パソコンが各家庭に普及される世の中になるなんて、誰も思ってもないころでしたから、電話だけで型紙の難所を伝え合っていた時代がありました。
今なら、画像を添付し、動画を送るだけで伝えられるのですから、すごいことです。
それはともかく。
型紙は読むものです。
単に、裁断するためのツールではありません。
「型紙の通りに裁断したけど、上手く縫えない」
「既製品のように、パリッと仕上がらない」
この様なお悩みの多くは、
- 縫い代付けが未熟だったせいで、トラブルを未然に防げていないとか、
- 何か作り上げるまでの段階で、未然に防げる原因を持ち越して完成させている
などの原因により、仕上がりが良くない状況に追い詰められています。
原因を特定できるようになれない限り、縫うことは上達しません。
原因特定するためのスキルは、情報の引き出しをいかに多く持つのかになります。
ノウハウは、単に情報の一つでしかありません。
既製品の縫い方が出来るようになれるノウハウを、サクッと教えろというご要望にお応えできかねるのは、このような理由です。
洋裁は手つきと思考で世界観を伝える技術
洋裁が自宅で学べる365回講座では、最初こそゆったり進みますが、どんどんスピードアップしていき、動画も長くなって14分を超えたりするものが多くなっていきます。
ペースダウンしてお休みしてしまう生徒さんも多くいらっしゃいます。
動画だけは観ているという方は、教材を作ってなくても、ご経験の豊富な方に間違われてしまうくらい、手つきが変わるとお喜びいただいております。
洋裁が自宅で学べる365回講座で私がお教えしたいのは、まさに手つきと方法の理論です。
ノウハウをお求めの方にそぐわない教材となっているのは、私としては誉れだと感じております。
ノウハウで縫えるようになるなら、ノウハウ本で既製品が縫えるようになっているはずです。
生地との出会いは、一期一会です。
生地が違うだけで、プロでも断崖絶壁に立たねばならず、脂汗を絞って、脳みそをフル回転させて必死で縫い、完成にたどり着きます。
這う這うの体といいいますか、地べたを這うように、匍匐前進で藪の中を進まざるを得ない時の方が多いのが、たった一人で縫い上げる「丸縫い」です。
嫌いな部分も、苦手なところも多くあります。
でも、完成した作品にその苦労がにじみ出ないようにするのが、プロの腕です。
情報を整理し、その場で素早く取り出せてこそ、縫う技術が上達する
失敗しない縫い方は存在しないと、断言してもいいのかもしれません。
失敗はするもので、回避することと、原因を早くに感じ取り、失敗したまま突き進ませないことでパリッとした出来上がりに導くのが腕前です。
あなたが、もし(どうして失敗ばかりするのだろう)とお感じになられているとしたら、
- 失敗に至るまでに、
- 失敗の芽が小さいうちに摘まなかったことで、
- 《失敗の木》に育ってしまい修正不能になり、
- シャンとした仕上がりになっていないのが原因です。
洋裁が自宅で学べる365回講座では、失敗を多く見せて、失敗を早い段階で回避させ、失敗がにじんで苦労して作ったんだなと感じさせない縫い方を指導しております。
洋服を縫うことは、ありとあらゆる失敗を想定し、失敗しかけたところから軌道修正できるかどうかが、キモになります。
話がまた戻りますが、布ループはそういう意味で典型的な形と言えるでしょう。
35回目からの講義で、布ループを教材にしたことを、私はとても良かったと思っています。
布ループを2個並べて同じ顔に縫えるようになれれば、《どこで買ったの?》と言われる作品作りへの一歩を、すでに歩まれていると言えますでしょう。
ミシンを買ったばかりのご経験も少ない方でも、布ループを攻略できるようにするために、34回までの講義があります。
そんなこんなの打ち明け話を今回は書いてみました。
あなたへ、心を込めて私からのメッセージでもあり、お問い合わせへのお返事です。
ノウハウだけで服は縫えるようになれません。
どうか、時間と結果を勘違いなさらないでくださいませ。
今回は以上です。では、また(*^▽^*)
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