婦人服サンプル屋の仕事は縫えない素材でも縫える方法を探すこと

サンプル屋の仕事とは? アパレルの裏話

こんにちは。「ずぼらでパリコレ」洋裁が自宅で学べる365回講座の小川タカコです。

洋裁が自宅で学べる365回講座では、19のステップに分けて、講座の内容をご紹介することになりました。
12月30日の現在は一覧表だけですが、これから各項目に分けて、どんな進み方で上達できるのか、分かるようにしていきますね。

今回のお話は、サンプル屋とはどのようなことをしていたのか?というアパレルの裏話です^^

婦人服のサンプル屋とは煮ても焼いても食えないモノの調理法を探すこと

サンプル屋の仕事とは。ファッションショーや展示会、その他の見本を縫うのが仕事の内容です。

見本を縫うわけですから、デザイン画や型紙から、どういうデザインなのかを読み取って、作って欲しい込められた思いを形にすることで、信用を得られるわけですね^^

ここで少し傲慢な言い方に読まれると困るのですが…。
「キレイに縫えるのは当たり前」なのです。

キレイに縫えてなきゃ一人前ではないのですから、キレイに縫えてるじゃない!というのでは、当然お仕事の貰いが少ないんですねぇ。
そこでもっと他者よりも仕事を多くもらい、融通を聞かせてもらうために何をするのかという目に見えないところの戦いで、競合としのぎを削る壮絶な戦いをします。

生地がこのデザインには無理なんだよ

デザインがもっとわかりやすかったら間違えなかった

こんな言い訳は、全く通りません(;^_^A

だって。考えてもみてください。

ファッションだから!

旧来のファッションをぶち壊すものが、新しいファッション

国民服を縫っているなら、いつも同じ素材、いつも同じデザイン、まいど同じだったら、ちょっと変化させられただけでも血が頭に上って、きーーーー!ってなるかも?(笑)

日本では手に入らないものは少なくともありません。
高級すぎて見ることも叶わないものが多々あるとしても、お金でそのほとんどは解決します。

先進国で、ファッションの業種に就いたら、意外性や独自性で、旧来のものをぶち壊していく革命的精神が、ファッションでは欠かせないです。

革命的な精神によってデザインされたファッションというのは、大部分が煮ても焼いても食えません!という縫製する側からしたら、涙がちょちょ切れてしまう素材であることも避けられません。

サンプルがどう縫ったのか、トラブルの回避方法を見つけておく

いきなり見本もなく、煮ても焼いても食えないようなのが数百着も縫製工場に送り込まれたら、激怒されます。

「見本はどこ?」

「見本はどうやって縫ったの?」

「見本の時のトラブル解消法は?」

見本とはサンプルのことです。
そうなんですよ、量産に入る前段階で、起こりうるトラブルを処理してないと、大変な騒動が勃発し、そして悲しい結果になることだってあるんです。

何万着もの商品が、不良品となってしまったことがあり、私はサンプルを縫った人だからわかるだろうと、その現場に呼びつけられました。

山に重ねられ、工場中にあふれている不良品の数々。

手が震え、怯えまくっていると、工場の人が次々に不良箇所を見せてくれるんです。

「どうしてサンプルは何でもなかったのに、量産になったらこんなことになったのか、あんたにならわかるだろう?!」

あの時は衝撃が強すぎて、2週間ほど悪夢にうなされましたっけ。

その実際にあった衝撃的な事件は、広末涼子さんがコンサートで着衣してくれたのが雑誌を飾った、幻のデザインとなりました。

そのデザインの上下、7種類くらいのアイテム全部が、没となってしまったんです。
損失は、どれほどのものだったか、はかり知れません。

サンプルはキレイに縫えるのが仕事じゃないんですね。

もしかしたらこんな風に縫っちゃうかもしれないという予測をして、大手の工場の素人に近いような縫い子さんたちでも、失敗にならないように注意をしておかないと危ないですよという、危険を予測して企画室に報告する部分までがサンプルの役割なんです。

煮ても焼いても食えないから、これは縫えませんって言っちゃいけないんです(笑)
どうにもならないので、調理法を変えてこのように料理しましたという報告を見て、量産にすることを諦めてもらうか、違う方法があるか検討してもらうためにも、何らかの形にする必要がある訳です。

小川に縫わせてダメだったら、先生に諦めてもらう

上記の衝撃的事件の数年前に、シーズンオフの時に電話がかかってきました。

「3年(?)くらい前に作ろうとして、どうやっても作れなかった素材があるんですけど、先生があれを使おうって言いだしたんです。
小川さん、縫ってみてもらえません?
小川さんでダメだったら、先生に諦めてもらうように説得するんで…」

諦めとため息が入り混じったお電話でした。

ワンピを縫ったのを私に通らず、加工したのがそのまま企画室に届けられ、
「やっぱり同じ不良になってしまった。もうだめなんだ!」みたいな内容で報告受けました。

その頃はメールもないFAXだけですから、不良の内容も見れないですが、口頭で説明してもらって、あれ???って感じたんですね。

うまく言えないですが、頭の隅でチカチカするんで、一晩時間もらえませんか?」

その晩は必死で、何が引っかかっているのか、何に自分が反応しているのか、全身全霊で考え尽しました。

 

明け方になって、答えが出ました。

その生地はこういう加工をしたはずだから、加工の前にあることをして不良が出なくさせたい。
試しにもう一度縫わせて欲しいので、多めに生地をください。

そのようにお願いして、一発で不良を起こさない方法の調理法を見つけました。

生地のクセが出る理由と、不良になる原因は生地であればある程度予測が出来るからです。

大量に倉庫で眠っていたその生地は、その年の目玉商品となって、たくさん縫われ、人気商品となって国内外へ旅立っていきました。
調理法が分かれば、不良品になってしまう生地をよみがえらせることも出来るんです。

サンプル屋の仕事とは?

今回の動画も台衿付きシャツカラーのDVDマニュアルからの抜粋なので、映像が全然言葉とかみ合ってないですが、その辺はお許しください。

動画を見る時に、こんな風に縫うなんてできないとか、これは自分とは違うやり方だとか、普通にいろんな考えが浮かんでくると思うんですが、平らな目で見て欲しいなと願っています。

この動画の時は、衿のイセを縫い込んでいる時です。

ゆがみの対策になりません。
こういう方法でやっても、イセがかたよったり
イセで歪む原因になるので、このまま参考にしないでください。

台衿付きシャツカラーのDVDマニュアルでは、上衿のイセは、難しいのでもっと簡単に、もっとやりやすく縫える方法をご紹介しています。

シャキッとした台衿付きシャツカラーが縫いたいとお感じになっているあなたには、最も最適な教材になります。

レザーや分厚い素材でも、市販品のように素材の厚みをものともせずに縫う方法を探している方にも、どのように対処して考えていけばいいのかが分かります。

ご検討いただけましたら幸いです。
台衿付きシャツカラーDVDマニュアルの詳しいページは、近く作りますね。

撮影がまだ出来てないので、もうちょっとだけお時間下さいませ。

では、動画をどうぞ~。

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