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アパレルの裏話|私のずぼらさが招いた大失敗。1本の電話
私は当時、3番目の子が生まれる前で、マンションの四畳半に工業用のミシンやロックミシン、バキュームという業務用のアイロン台など、歩くスペースもないくらいに詰め込んで、仕事をする毎日でした。
展示会やファッションショーなどのシーズンが過ぎると、サンプル専門業としては何にも仕事が来ない日が続きます。
そういう時のために、マンションメーカーさんなど展示会を特別に行わず、流行を素早くキャッチして、新作を小出するようなメーカーさんにも営業に行き、仕事が皆無になる状況を防ぐわけです。
その電話が来た時も、2社くらいの仕事が同時に動いていて、私はそれなりに納期に追われる美味しいお仕事にありついていました。
電話にナンバーがディスプレイされるのも当たり前になって、スマホにも誰から来たのか一目でわかりますよね。
今はいい時代です。受信拒否も簡単ですもんね(笑)
その頃は当然、「はい?」と受話器を取り、相手が名乗るまで誰だかわからない訳です。
今が当たり前とするとすごく怖いですよね!(笑)
もちろんFAXはありましたが、気分としてはあの頃の電話ってこんな感じ(笑)
電話の主は六本木にあるメーカーの、やり手生産さんだった
電話の声を聴いたとたんに、ヤバい電話を取ってしまったと思いました。
30着の小ロットだからできるでしょ?
えええ?サンプルで30着も縫うんですか?(工賃を想像してよだれがw)
や、そうじゃなくて。小ロットの量産ね。でも30着だから小川さんの速さなら全然余裕っしょ!」
「あのーー。
御社の仕事じゃないものも私、今も当然抱えているので、いきなりそんなこと言われてもですね。。。。
この会話、すごくおかしいでしょう?
30着のアイテムが何なのか、大事なことも抜けてるし、そういう気配がするときはものすごくヤバいに決まってるんです。
だって、わざと伏せて強要しているわけですからね。
お断り満載のわたくしでしたが、横車を押そうとしている生産の職出しの人は、押し込める作戦を練ってきてます。
生産担当になるのは、横車を押し込める強く勝負が得意中の得意な人なんですよね。
この六本木にあるメーカーさんの生産の人も、すごくその辺、駆け引きが上手なうえに、いつも強気で頑として動じないくらいの鉄壁の強さがあります。
そんな猛烈な人間が作戦を縫って襲ってくるわけで、いきなり言われるこちらは、非常に後手後手になってしまい、結局、請け負うことになってしまいました。
美しいツイードの生地が届いた
いきなり降ってわいた大量の受注に、心ここにあらずの状態の私でしたが、とにかく割り込みを入れる枠を作らねばなりません。
持っている仕事を必死で完成させつつ、心配でたまらない気持ちで一夜明け、佐川急便が届けてくれた段ボールには、美しいツイードの生地が入っていました。
30着だよ、30着!
頭の中はそればっかり。
裁断台もまだ大きくなかったので、1着分ずつ小分けにしないとならないと思い込んじゃったんですね。
だって、仕事を入れる余裕なんてないと散々言い合って、30着だけだからよろしく頼むという約束で、いやいや請け負った仕事ですもの、30着だと疑ってもみなかったんです。
ちなみに仕事は受け取ったら最後、できないという理由での返品は認められません(笑)
やればできないことはないんでしょうけど、二度とその会社とはお取引き出来なくなります。
家内営業の内職のはずが、いつの間にか家業として責任を取らなければならなくなっていた私としては、太いパイプは切れない事情があります。
メーカーと直接取引をする危険というのはそういうところにあります。
工賃は全部自分が取れるので割が良い分、危険は常に背中を狙ってくるリスクが高いのです。
色合いは全く違いますが、届けられた生地は茶とベージュの濃淡で、それは美しい生地で、イタリー製と書いてあって、いつもながらこの会社の素材は上等なものを使うよなぁと、迫力に負けないように心を引き締めて、着分ごとに切り分けたんですね。
当時の私は、裁断はとにかく早く終わらせて、ミシンで縫うところまでやっつけ仕事をし、ミシンで縫い始めて少しホッとするような仕事のスタンスでした。
全くなってなかったです。
裁断がどれほどミシンの仕事を助けてくれるのか、まだ分かってなかったんです。
30着分に地の目を通して切り分けて、パターンを置こうとして縫製仕様書を見てなかったことに気が付き、仕様書をみたら、目を疑う数字が書かれていました!
「36着」
信じられませんでした。私は計算がとても弱いんですが、1.2倍だってすぐ出ましたよ(笑)
これはない。つうか、もう30等分しちゃってるし!
失敗の報告の電話をする
生産の人にとにかく報告をしなきゃなりません、一刻も早くです。
これこれこういう事情で、30着しかできない。なんで36着と言ってくれないんだ~~!
30着だけと約束したじゃないですか~~~!
ガキの使いやあらへんでぇ~って言われそうですが、もうマジ泣きでしたし、損害賠償の責務は絶対に無理なわけで、生地を買い取れとか言われても、完璧に無理なんですね。
もう泣きわめきたい気持ちを抑えて、必死に事情を話して36着はどうやってもできない、だって30に切り分けてしまったんだもの~~と話をしました。
生産の担当者さんは世界を敵にしても横車を押せるような、理詰めで押しとおるのが得意でしたので、失敗の損害を与えたことの怖さったらなかったです。
もしも賠償責任ありと言われたら、理詰めでは勝てません。
もうどうしたらいいのか、混乱して泣きわめきたいほどでした。
静かに言い聞かせるように混乱を鎮静化させた言葉
あのさ。おがわさんね。
もうわかったから。
次の時のおがわさんは、ぜったに仕様書を読んでから裁断する人だってわかってるから。
もうそういうのなしで、30で進めていいからさ。
とにかく、仕事をしよう?
何が何だか分からなくなるくらいに追い込まれた気持ちになっている私でしたが、生産さんのこの言葉は響きました!
腹の底がドシーーーーん!と地に着いたような気がしました。
「次の時のおがわさんは、ぜったに仕様書を読んでから裁断する人だってわかってるから」←これってすごいですよね。
気持ちが落ち着くだけでなく、自分を否定しないでくれた心に感謝を深く感じました。
「とにかく、仕事をしよう?」
柔らかく言い聞かせる言葉でした。
私の家庭は幼いころから、喧嘩ばかりで失敗したらずっと罵られるような境遇で育ったので、本当にこの言葉で今自分が何をすべきか、気持ちをしゃんと立て直すことができました。
後で口約束にされると怖いので、仕様書を30着に直して、FAXで送り直してくれるようにお願いして、後はひたすら仕事に集中しました。
押え金がもぐってしまうくらいに、ざっくりした素材だった
ツイードちゃんはざっくりした生地で、押え金が食い込むくらいにフワフワしていて、縫うのにそりゃあ苦労しました。
可愛げのある顔をしてても、非常に気難しい相手でした。
30着でも自分でやろうと思った時間をオーバーし、やっとの思いで完成までたどり着き、他社さんの仕事にも穴をあけないですんだのは奇跡だと思ったほどでした。
その時に、何か補助するアイテムがないと、ミシンって実はダメなんじゃないか?という疑問がしみじみと感じることになって、
洋裁教室や独学でお悩みの方に最適な24時間自宅で学べる365回講座では、そういうアシストをフルに使ってミシンの作業を楽にする内容にしてあります。
ミシンはいつでもちゃんと働いてくれるのですが、間にはさむ素材が変わると、普通車に軽油を入れてしまったように、うんともすんとも動かないような、支障をきたしてしまうことが多くあります。
マシンを操縦するのはあなたで、マシンであるミシンとあなたが仲良くなっているとスムーズに運転ができるはずです。
でも、ミシンの場合は不特定多数の生地という、難素材が含まれますので、そう簡単に何でも縫えるようにはいかなくて、皆さんもお困りになることが多いでしょう。
- 地の目を通して裁断をきっちりしてあることと、
- 型紙に縫い代をきちんとつけて正確に裁断してあることが、
ミシンの不遇な状況を助けてくれます。
何よりもあなたの目が、ミシンが不遇な状況にあると察してあげられる目に育っていることが重要です。
洋裁教室や独学でお悩みの方に最適な24時間自宅で学べる365回講座では、生地の織り糸を意識しながら縫うように、お伝えしています。
織り糸の状況を把握しながら縫うことができれば、あなたのミシンlifeは断然、今までと違ったグレードアップいたします。
頭の隅に入れて置いてくださいね。
生産さんからの無茶振りはまだあった!
この担当さんには長いお付き合いをいただきました。
それから数年後に宮城に転居してから、また生産から変な時に電話が来ました。
わー、Tさん!私、この電話今すぐ切りたいんですけど!
切っていい電話ですよね????
やだなぁ。僕と小川さんの間じゃないですかー。
嫌な不穏さがプンプンしますけど!
じゃっ!これで切りますね!
おいっ!話を聞けーーー!
- Aラインワンピースを請け負った工場さんが納期に間に合わせられなくなった。
- 裁断は終わってるから、小川さんはすぐ縫えるよ♪
- いい仕事だろう?
良い話だなんてとんでもない。
めちゃくちゃな裁断をされたものを、納期もギリギリで入るだけ手伝ってくれという、非常にハイリスクな状況に追い込まれたことがあります。
それは、マダム花井で目玉が出るほど怒られたときから、ずっと考えていたバイヤスの生地に伸びについての課題が、再び対面することになったんです。
サンプルを独立してやるようになってからも、バイヤスで大目玉を喰らったことは忘れられず、機会があるたびに検証していたのです。
Aラインの攻略法3つの最大条件
- Aラインは絶対に同じ方向で裁断する事。
- 地の目は完璧に、縦横に通した裁断にすること。逆向きで裁断したものは、縫うのが非常に困難であること。
- もしも逆向きになった時は、生地を言い分を最優先して、合印よりも生地の伸び加減で縫うこと。
これがAラインの攻略法だと、私は考え抜いた末に出した答えでした。
時々Aラインを縫う時に、きっちりこれを守って縫うと、修業時代の時のようなバイヤスの縫い目が右に左にぶれてしまうようなことがないんですね。
修業時代に散々苦労したバイヤスのスカートは、たぶん逆さで裁断したんだろうと考えるようになっていました。
それが証明されたチャンスでもあったし、うっかりそれを考えないで適当に縫って右左に傾くようなワンピにしたら、自分のところで仕上げた数のワンピの上代の価格を、賠償責任を負担させられるところでした。
縫った最後の人間が責任を取るような部分が多々あったので、あれは本当にきわどい危機をチャンスに変えた瞬間でした!
洋裁教室や独学でお悩みの方に最適な24時間自宅で学べる365回講座 ずぼらでもパリコレは、あなたがミシンlifeをもっと楽しく、作りたいものを完成度高く、美しい創作ができるようになることを心から応援します。
では、また!
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